壺の中の埋蔵金?!

6人兄弟の末っ子だった父は、兄が3人もいることや祖母が長男である伯父を溺愛していたことから、自分は当然家を継ぐ人間ではないと考えていました。両親は30年前に、祖母の家から車で1時間程度と少し離れた場所に家を建てたのですが、ゆくゆく祖母の面倒を見るのは長男夫婦であって自分達ではないと思っていたからでした。

ところが、長男の伯父は東京で大企業に勤めて定年退職後、田舎に戻ってくるとばかり思っていた祖母の期待には応えず、彼の妻の実家がある関東の某県で別荘地として有名な場所に家を建てて転居。そこでようやく目が覚めた祖母は、田舎に唯一残っていた私の父にある日突然、「後のことはあなたに任せるから、よろしくね」と宣言。自宅の納屋にある壺の中に、先に他界した祖父が残してくれていた200万円が現金で入っているから、自分の葬儀はそのお金で頼む、と言ってきたそうです。

元々自分が後を継ぐつもりもなかった父は、まったく乗り気ではないものの、祖母を思いやる気持ちからその話を承諾、しかし、壺の中を確認することまではしなかったそうです。

その約10年後、祖母が寝たきり状態となり、介護施設でお世話になることになりました。祖母が施設に入っていた間、伯父達が祖母を見舞うためにと時々田舎に帰ってきて、ほとんどの場合は無人の祖母の家に滞在しました。伯母の一人が近所に住んでいたため、伯父達が滞在している間は祖母の家に来て食事の支度や家事をしていたそうです。私の両親は、祖母の見舞いには毎週のように行っていたものの、家の方は祖母の実の娘である伯母が時々行っていたので、ほとんど立ち寄っていませんでした。

祖母は高齢だったこともあり、介護施設で数年間お世話になった後に他界。そこで父は祖母の言葉を思いだし、母にその話を初めて伝えました。そんな話になっているとは全く知らなかった母は非常に驚いたものの、それが祖母の言ったことなら自分たちが葬儀をきちんと出すべきだろうと考え、まずは初七日までの行事をすべてやり通して、その後壺の中のお金を取りに行こうという父の意見に同意したそうです。父が伯父・伯母達にも同じ話をして、遠方に住んでいた伯父たちも初めて聞いたと驚きながらも父の意見に同意、父が喪主となって通夜、葬儀と大きな混乱もなく無事に終えました。私も通夜の日に駆けつけ、1週間ほど両親の家に滞在して手伝いました。

初七日が終わり、私たちもそれぞれに帰ってひと段落したところで、父と母は祖母の家に出かけ、納屋の中の壺を探しました。壺の数は6個。いずれもすべて空だったそうです。

祖母から話を聞いた時にきちんとお金を確認し、なおかつ一筆書いてもらっていればまだ良かったのでしょうが、それも後の祭り。
そもそもそんなお金が壺に入っていたのか、それとも祖母の家に出入りした誰かが持ち出したのか、今となってはまったくわかりません。
しかも祖母の家の名義は長男の伯父になっていました。伯父はいつそうなったのか知らない、と言うものの、自分の名義なら今後は固定資産税は自分が払う、貸家にするから祖母の荷物は田舎にいる人間で適宜処分してくれ、とかなり勝手なことを言い出す始末。
祖母の通帳の残高は十数万円で、結局葬儀にかかった費用で香典で賄えなかった分を100万円ほど両親が負担したままになってしまったそうです。
毎年のお盆や年忌法要にかかる費用や労力がよもや自分達に降りかかるとは思っていなかった母は、父に対する不満を募らせています。
私も既に他家に嫁いだ身であり、父母のことを心配しながら何もできずにいます。また、生前は祖母のことが大好きだったので、父と母に聞いた話からしか分かりませんが、やはり失望を覚えたことは否めません。伯父達とは年に1度顔を合わせるかどうかで決して近い関係ではなかったのですが、父たちに金銭的な支援を申し出る様子もないことにやはり失望しました。面倒を押し付けることができてほっとしているのが本音なのか、と悲しくなります。

生きている時だけでなく、死んだ後も周りの人間に負担がかからないように、自分のお金や住居を誰に委ねるのか、予め本人だけでなく関係者にきちんと伝えて了解を取っておくことが大事だとつくづく思いました。

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